我々トヤマは、1954年創業以来60年あまり、一貫してモノづくりに携わってきました。この間、科学技術の発展には目を見張るものがあります。巨大核融合実験炉は人工太陽を創り出すでしょうし、一方で、ナノテクノロジーは原子分子レベルの観察からその操作を可能にするレベルに至りつつあります。
創業者・遠藤元正が努力し築き上げたのは、モノづくりに真摯に向き合うという愚直ともいえる精神と企業哲学でした。最先端科学技術製品を扱う今のトヤマにとって「モノづくりに真摯に向き合うとは何か?」これを突き詰めて考えたとき「人づくり」にたどり着きました。
モノづくりを支える人づくりに欠かせないものには3つあります。1つは感性です。豊かな感性なくして新しいモノを生み出すことはできません。2つめは環境、つまりインフラです。社員同士が共鳴し、刺激し合って相乗効果を高める環境です。3つめはアイデアを形にできる最先端の設備です。モノづくり企業である以上、必要不可欠な要素です。
豊かな感性を育み、本物を作り出すには、本物の自然に触れることが一番です。じゃあ、作ろうじゃないか! と取り組んだのが、本物の森を再生する「トヤマの森プロジェクト」です。この分野の権威である横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生にご教授いただき、2万本以上の苗木を新社屋周辺に植えました。
また、地産地消型の循環を実現し、自ら生産する「トヤマファーム」という農業プロジェクトもあります。自然を相手にするとき、モノづくりに欠かせない感性も育まれると思うからです。
社員同士が主体的に共鳴し、相乗効果を高めるためにユニークな取り組みを行っています。例えば、トヤマのブレーンが集うエンジニアリングルームと、加工・組立の部屋とが扉ひとつで隣接しています。エンジニアリングルームでは、職務・在籍年数・役職に関係なく定期的に座席をローテーションさせ(年に1回くじ引きで決める)、ジャンル・職務の違い・垣根を超えて、様々なエンジニアがお互いの能力を発揮・刺激し合い、創造性を引き出す環境を整えています。
天体望遠鏡を備えているのも、創造力の源である知的好奇心を引き出すためです。最先端科学技術を扱っているにも関わらず、土星の輪を見たことがない社員がほとんどだったからで、天体観望会を開いて地域の青少年育成にも役立てています。
モノづくり企業である以上、そして最先端科学技術の担い手である以上、最新鋭の設備を整えました。例えば、機械加工エリアは、従来の面積の2倍の広さを誇り、6mの高さの揚程は大型加工を可能にします。最新鋭5軸門型マシニングを導入した大型製造棟も完備しました。
創業以来培ってきたモノづくりの技術とノウハウを結集させ、自社発信のブランド製品を扱う研究開発エリアや高品質を実現する2つのクリーンルーム、延床面積320㎡を誇り4部屋に分かれた恒温室など、高精度かつ多種多様な加工や測定を可能にする設備があります。
<モノづくりの殿堂建設プロジェクト>
モノづくりの殿堂には3つの柱